中国・四国の中小企業が「働きがい」と「働きやすさ」を両立させる方法——中国・四国で人事に取り組む方へ
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中国・四国の中小企業が「働きがい」と「働きやすさ」を両立させる方法——中国・四国で人事に取り組む方へ

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中国・四国の中小企業が「働きがい」と「働きやすさ」を両立させる方法——中国・四国で人事に取り組む方へ

「うちは働きやすい会社だと思うんですけど、社員がいまひとつ元気がないんですよ」。香川のある中堅メーカーの経営者から、こう相談を受けました。

聞いてみると、確かにこの会社は「働きやすさ」の面では充実していました。残業は月平均10時間以下、有給休暇取得率は75%、育児休業の取得実績もある。しかし、社員満足度調査を実施すると、「仕事にやりがいを感じる」の項目が低い。新しい提案が出てこない。目の前の仕事を淡々とこなしているが、「この仕事が面白い」「もっとやりたい」という熱量が感じられない。

これは、「働きやすさ」と「働きがい」を混同してしまった結果です。この2つは関係し合いますが、別の概念です。「働きやすさ」は労働条件や環境の快適さ、「働きがい」は仕事そのものへの意味や達成感。両方が揃って初めて、社員は本当の意味で「この会社で長く働きたい」と思えるのです。

私はこれまで500社以上の企業の人事課題に向き合ってきましたが、「働きやすいけど働きがいがない」企業と、「働きがいはあるけど働きやすくない」企業の両方を見てきました。どちらも、長期的には離職や生産性低下につながります。この記事では、中国・四国の中小企業が「働きがい」と「働きやすさ」の両方を実現するための方法を整理します。


「働きやすさ」と「働きがい」の違い

まず、この2つの概念を明確に区別しましょう。

「働きやすさ」とは:労働環境が快適であること。具体的には、残業が少ない、有給が取りやすい、柔軟な勤務時間、清潔な職場、ハラスメントがない、福利厚生が充実している——こうした要素です。

「働きがい」とは:仕事に意味を感じ、やりがいや達成感を得られること。具体的には、仕事を通じて成長を実感できる、自分の仕事が会社や社会に貢献していると感じる、挑戦の機会がある、自分のアイデアが活かされる、成果が正当に認められる——こうした要素です。

「働きやすさ」は、いわば「不満を生まないための条件」です。働きやすさが欠けていると不満が生まれ、離職につながる。しかし、働きやすさだけでは「この会社で頑張ろう」というモチベーションは生まれにくい。

「働きがい」は、「積極的な動機を生む条件」です。仕事にやりがいを感じている社員は、自発的に工夫し、挑戦し、成果を出そうとする。しかし、働きがいがあっても働きやすさが欠けていると、いずれ疲弊して離職に至る。

つまり、「働きやすさ」は基盤であり、「働きがい」はその上に築かれるものです。両方が必要です。


経営数字で見る「働きがい」と「働きやすさ」の効果

「働きがい」と「働きやすさ」が両立している企業と、そうでない企業を比較すると、経営指標に明確な差が出ます。

離職率:「働きがいがある」と感じている社員の離職率は、そうでない社員と比べて大幅に低い傾向があります。中国・四国の中小企業で、離職率が5ポイント改善すれば、50名の企業で年間2〜3名の離職を防げ、採用・育成コスト削減効果は年間400〜750万円です。

生産性:「働きがいがある」と感じている社員は、そうでない社員と比べて生産性が高いことが、多くの研究で示されています。一人あたり売上高や一人あたり付加価値が向上する。

採用力:「働きやすくて、働きがいもある会社」という評判は、採用における最大の武器です。口コミサイトの評価が高い企業は、求人媒体への依存度が下がり、自然応募やリファラル採用が増えます。

愛媛のある機械メーカー(従業員55名)では、3年前から「働きがい」と「働きやすさ」の両立に取り組んだ結果、離職率が17%から6%に、一人あたり売上高が前年比15%向上、中途採用の応募者数が2倍になりました。


「働きやすさ」を整えるための基盤づくり

まず、「働きやすさ」の基盤を整えます。これは、「不満の種」を取り除く作業です。

長時間労働の是正:残業の常態化は、働きやすさの最大の敵です。業務の棚卸し、無駄な会議の削減、ITツールの活用——仕事のやり方を変えることで残業を減らす。「残業を減らせ」と号令をかけるだけではなく、「残業を減らしても仕事が回る仕組み」を設計する。

休暇取得の推進:有給休暇の計画的付与、休暇取得率の目標設定と管理職への評価反映——制度と仕組みの両面から休暇取得を推進する。

ハラスメントの防止:パワハラ、セクハラ、マタハラ——あらゆるハラスメントを許さない姿勢を明確にし、相談窓口を整備する。ハラスメントが放置されている職場に「働きやすさ」はありません。

公正な評価と処遇:「頑張りが正当に評価されている」という実感は、働きやすさの重要な要素です。評価基準の明確化、フィードバックの充実、報酬への反映——公正性を担保する仕組みを整える。


「働きがい」を高める5つのアプローチ

「働きやすさ」の基盤を整えた上で、「働きがい」を高める取り組みを進めます。

アプローチ1:「仕事の意味」を伝える

自分の仕事が、会社の事業にどう貢献しているか。最終的に、お客様や社会にどんな価値を届けているか。この「意味」が見えている社員は、働きがいを感じやすい。

製造業の現場であれば、「あなたが作っている部品が、最終的にはこういう製品に組み込まれて、こういう人の役に立っている」という文脈を伝える。営業であれば、「あなたが売った製品が、顧客の事業をこう改善している」という成果を共有する。

広島のある自動車部品メーカーでは、年に1回「完成車見学会」を実施し、自社が製造した部品が組み込まれた完成車を社員に見せています。「自分が作った部品がここに使われている」という実感が、社員のモチベーションを大きく高めているそうです。

アプローチ2:「成長の機会」を提供する

新しいスキルを学べる研修、難易度の高い仕事への挑戦機会、異なる業務を経験するジョブローテーション——「今より成長できる」という感覚が、働きがいの源泉です。

中小企業では、大企業のような体系的な研修プログラムは難しくても、「この仕事は未経験だけどチャレンジしてみないか」と声をかけるだけでも、成長の機会を提供できます。

アプローチ3:「裁量と権限」を委譲する

「自分で考え、自分で決められる範囲がある」ことは、働きがいに直結します。マイクロマネジメント(細かく指示・管理する)は、働きがいを最も効果的に削る行為です。

管理職が「やり方」まで細かく指示するのではなく、「目標」を共有した上で、やり方は本人に任せる。「この目標を達成してほしい。やり方はあなたに任せるから、困ったことがあったら相談して」——このアプローチが、社員の自主性と創造性を引き出します。

アプローチ4:「貢献の実感」を与えるフィードバック

自分の仕事が認められている、貢献が評価されている——この実感は、働きがいの強力な源泉です。半年に1回の評価面談だけでなく、日常的に「ありがとう」「助かったよ」「良い仕事をしてくれた」と伝えること。

特に効果的なのは、「具体的な成果に対する具体的なフィードバック」です。「頑張っているね」よりも、「先週のA社への提案書、データの整理が素晴らしかった。おかげで商談がスムーズに進んだ」——具体的であるほど、本人の「貢献実感」が高まります。

アプローチ5:「仲間との一体感」を醸成する

「このチームの一員であることが誇らしい」「一緒に働く仲間がいる」という感覚は、働きがいの重要な要素です。

チームでの成果を共有する場、困ったときに助け合える関係、全員で目標を追いかける一体感——こうした組織文化は、制度だけでは作れません。日々のコミュニケーションの積み重ねです。


事例:徳島の中小企業が「働きがい」と「働きやすさ」を両立させた話

徳島県徳島市にある従業員35名の精密機器メーカーの事例を紹介します。

3年前、この会社は「働きやすさ」には問題がないものの、「働きがい」が低い状態でした。社員満足度調査で、「労働条件には満足している」が80%だったのに対し、「仕事にやりがいを感じる」は42%。優秀な若手が「成長できる場を求めて」退職するケースが年間2〜3件続いていました。

人事担当者のYさんは、以下の取り組みを実施しました。

取り組み1:「チャレンジ枠」の新設。通常業務に加えて、社員が自ら手を挙げて参加できる社内プロジェクトを年間3つ設定。「新製品の企画」「業務改善プロジェクト」「顧客満足度向上プロジェクト」——これらのプロジェクトに、部署や年次を問わず参加できる仕組み。

取り組み2:「スキルアップ支援制度」の導入。業務に関連する資格取得、外部研修、書籍購入——年間1人あたり5万円の予算を設定し、自己啓発を支援。

取り組み3:「感謝カード」の導入。社員同士が「ありがとう」を伝えるカード(紙のカード)を、月に3枚以上書くルールを設定。カードは掲示板に掲示し、四半期ごとに最も多くカードを受け取った社員を表彰。

取り組み4:「経営数字の共有」。月次の売上、利益、一人あたり生産性を全社員に共有。「自分たちの仕事がどう数字に反映されているか」を可視化することで、貢献の実感を高めました。

2年後の成果。「仕事にやりがいを感じる」の回答が42%から71%に向上。離職率が15%から5%に改善。チャレンジ枠プロジェクトから生まれた新製品が年間売上の5%を占めるまでに成長。社員からの改善提案件数が年間10件から48件に増加。

Yさんは言います。「『働きやすさ』だけでは、人は留まらない。でも、『働きがい』だけでも、人は疲弊する。両方を揃えて初めて、社員は『ここで頑張ろう』と思ってくれる。その環境を作るのが、人事の仕事です」。


「両利きの人事」を中国・四国から

「働きがい」と「働きやすさ」の両立は、いわば「両利きの人事」です。守りの施策(働きやすさの整備)と攻めの施策(働きがいの醸成)を、バランスよく進める。

中国・四国の中小企業は、社員との距離が近く、一人ひとりの声を拾いやすい環境にあります。この強みを活かして、「この社員は何に働きがいを感じるか」「この部署は何が働きにくいか」をきめ細かく把握し、対策を打っていく。

大企業の画一的な施策ではなく、一人ひとりに寄り添った「手づくりの両立」。それが、中国・四国の中小企業だからこそできるアプローチです。

「働きがい」と「働きやすさ」が両立する企業は、人材を惹きつけ、定着させ、一人ひとりのパフォーマンスを最大化できます。そうした企業が中国・四国に増えていくことが、この地域の産業と雇用の未来にとって、大きな力になると私は考えています。


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