中国・四国の企業がリーダーシップ開発を「研修頼み」にしない方法——中国・四国で人事に取り組む方へ
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中国・四国の企業がリーダーシップ開発を「研修頼み」にしない方法——中国・四国で人事に取り組む方へ

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中国・四国の企業がリーダーシップ開発を「研修頼み」にしない方法——中国・四国で人事に取り組む方へ

「リーダーシップ研修に毎年100万円かけてるんですけど、現場が変わった感じがしないんですよ」。愛媛のある中堅メーカーの人事課長から、こう言われたことがあります。

聞いてみると、その会社では毎年、新任管理職を対象に2日間のリーダーシップ研修を外部に委託していました。有名な研修会社の講師が来て、リーダーシップ理論や部下指導の方法を教えてくれる。参加者のアンケートでは「勉強になった」「気づきがあった」と高評価。しかし、研修が終わって1ヶ月もすると、参加者は元の行動パターンに戻っている。

「研修直後は『1on1をやります』『部下の話をもっと聞きます』と言っていた管理職が、2ヶ月後には以前と同じマネジメントに戻っている」——人事課長の嘆きは、中国・四国の多くの企業で共有されている悩みです。

私はこれまで500社以上の企業の人事課題に向き合ってきましたが、リーダーシップ開発は「研修」だけでは不十分です。研修は「知識を得る場」にはなりますが、「行動を変える場」にはなりにくい。行動を変えるためには、日常業務の中でリーダーシップを実践し、振り返り、修正するサイクルが必要です。この記事では、中国・四国の中小企業がリーダーシップ開発を「研修頼み」にしない方法を、経営数字の視点から考えていきます。


なぜリーダーシップ開発が経営にとって重要か

リーダーシップの質は、チームのパフォーマンスに直結します。

チームの生産性への影響:優れたリーダーのチームとそうでないチームでは、生産性に20〜30%の差が出ることが、複数の調査で示されています。従業員50名の企業で、10名のチームリーダーの質が向上し、チームの生産性が15%上がったとすると、年間の付加価値増加は数千万円規模です。

離職率への影響:「退職理由の第1位は上司との関係」——これは多くの調査で一貫して示されている事実です。リーダーの質が向上すれば、部下の離職が減る。年間2名の離職が1名に減るだけで、採用・育成コスト150万円の削減です。

イノベーションへの影響:心理的安全性の高いチーム——メンバーが「失敗しても大丈夫」と感じられるチーム——では、新しいアイデアや改善提案が出やすい。この心理的安全性を作るのは、リーダーの力です。

中国・四国の中小企業では、管理職の多くが「プレイヤーとして優秀だったから昇進した」人材です。技術や営業のスキルは高いが、リーダーシップのスキルは十分に開発されていない。この状態を放置することは、経営リスクそのものです。


なぜ「研修だけ」では行動が変わらないのか

研修でリーダーシップの知識やスキルを学んでも、現場に戻ると行動が変わらない。この現象には、いくつかの理由があります。

日常業務の圧力:研修で「部下の話を聞きましょう」と学んでも、日々の業務に追われると「聞いている余裕がない」。目の前の仕事をこなすことが優先され、新しい行動を試す余裕がない。

周囲の環境が変わらない:研修で意識が変わっても、職場に戻ると周囲の人の行動は変わっていない。「自分だけやり方を変えるのは気恥ずかしい」という空気がある。

振り返りの機会がない:研修で学んだことを実践しようとしても、うまくいかないことの方が多い。そのとき、「何がうまくいかなかったか」「次にどうすればいいか」を振り返る機会がない。結果、「やっぱり無理だ」と諦めてしまう。

フォローアップの欠如:研修は「イベント」として完結し、その後のフォローがない。人事部門も「研修を実施した」ことで一段落してしまう。

つまり、研修で「知る」ことはできるが、知識を「定着させる」仕組みがないのです。


リーダーシップ開発の全体設計——「70:20:10」の法則

リーダーシップ開発の効果的な方法論として、「70:20:10」の法則が知られています。

70%は「経験」から学ぶ:実際の業務経験、特に「挑戦的な経験」(ストレッチアサインメント)がリーダーシップを最も鍛える。新しいプロジェクトのリーダーを任される、困難な交渉を任される、初めての部門を任される——こうした経験がリーダーとしての成長を促す。

20%は「他者」から学ぶ:上司や先輩からのフィードバック、コーチング、メンタリングを通じて学ぶ。「こうしたらもっとうまくいくよ」「あの場面での判断はよかった」——こうした他者からの気づきが、行動の修正を促す。

10%は「研修」から学ぶ:座学やワークショップで知識や理論を学ぶ。

つまり、研修は全体のわずか10%。残りの90%は、日常の経験とフィードバックの中にある。この比率を認識した上で、リーダーシップ開発の全体を設計する必要があります。


「経験」からリーダーシップを育てる方法

ストレッチアサインメント

現在のスキルレベルよりも少し高い難度の仕事を任せること。たとえば、初めてのプロジェクトリーダー、部署横断のタスクフォースへの参加、新規顧客への提案の主担当——こうした「背伸び」の経験が、リーダーシップを鍛えます。

ただし、「投げっぱなし」では学びにつながりません。任せた後のフォロー(上司による定期的な確認、困ったときの相談先の明示)が必須です。

広島のある商社では、入社5年目の社員に「新規取引先開拓プロジェクト」のリーダーを任せました。上司は週1回の進捗確認を行い、必要に応じてアドバイスを提供。プロジェクト終了後に振り返りを行い、「何がうまくいったか」「何が難しかったか」を整理しました。この社員は、このプロジェクトを通じてリーダーシップの基本を「体で覚えた」と言います。

ジョブローテーション

異なる部署や職種を経験させることも、リーダーシップ開発に有効です。自部署の視点しか持たないリーダーと、複数の部署を経験したリーダーでは、視野の広さが異なります。

中国・四国の中小企業では、人員に余裕がなく大規模なジョブローテーションは難しいかもしれません。しかし、「3ヶ月間、他部署の会議にオブザーバーとして参加する」「他部署の業務を1週間体験する」といった小規模な「越境体験」でも、視野を広げる効果はあります。


「他者」からリーダーシップを学ぶ方法

上司によるコーチング

管理職のリーダーシップ開発において、その上位者(部長や経営者)によるコーチングは非常に効果的です。月1回30分、「最近のマネジメントで困っていること」「うまくいったこと」をテーマに対話する。

コーチングの基本は「答えを教える」のではなく「問いかけを通じて本人の気づきを促す」ことです。「その場面で、他にどんな選択肢があったと思う?」「部下はどう感じたと思う?」——こうした問いかけが、リーダーとしての内省力を高めます。

メンタリング

社外のリーダーや、社内の他部門のリーダーとのメンタリング関係を構築する。「自分と同じ立場の人が、どうやって悩みを乗り越えているか」を知ることは、大きな学びになります。

香川のある中堅企業では、管理職5名を対象に、他社の管理職との「異業種メンタリング」を実施しています。月1回、異なる業界の管理職同士がオンラインで30分対話する。「自社の常識が、他社では非常識だった」という気づきが、マネジメントの幅を広げると好評です。

360度フィードバック

部下、同僚、上司からのフィードバックを匿名で収集し、本人にフィードバックする仕組み。「自分がどう見られているか」を客観的に知ることは、行動変容のきっかけになります。

ただし、360度フィードバックは「心理的安全性」が確保されていることが前提です。「誰が何を書いたか」が推測されるような規模(チームが5名未満など)では、本音が出にくくなります。中小企業では、外部のコーチやコンサルタントがフィードバックの仲介役を務めることで、安全性を担保できます。


研修を「行動変容」につなげる方法

研修を完全にやめる必要はありません。研修の効果を最大化する方法を紹介します。

研修前:事前課題を出す

研修の前に「自分のリーダーシップ課題」を整理させる。「自分のマネジメントで最も困っていることは何か」を考えてから研修に臨むと、学びの吸収率が格段に上がります。

研修中:自社の課題に紐づけたワークを行う

一般論のレクチャーだけでなく、自社の実際のケースを題材にしたワークを取り入れる。「あなたの部署で起きている○○の課題に、今日学んだ手法をどう適用するか」を具体的に考える。

研修後:アクションプランの実行とフォロー

研修の最後に「明日から実践すること」を3つ以内に絞って宣言する。そして、研修の1ヶ月後にフォローアップセッション(1〜2時間)を実施。「宣言したアクションをやってみてどうだったか」「何がうまくいって、何がうまくいかなかったか」を共有する。

このフォローアップがあるかないかで、研修の効果は3倍以上変わると、研修の専門家は言います。

山口のある製造業(従業員70名)では、管理職研修の後に「3ヶ月間の実践プログラム」を組んでいます。月1回、管理職同士が集まり、研修で学んだことの実践報告と相互フィードバックを行う。3ヶ月後に「実践成果発表会」を経営者の前で実施。この仕組みにより、「研修で学んだことが現場で定着する率」が大幅に向上しました。


中国・四国の中小企業に合ったリーダーシップ開発プログラム

大企業のようにリーダーシップ開発に年間数百万円をかける余裕がない中小企業向けに、コストを抑えた実践プログラムを提案します。

年間プログラム例(予算50万円以内)

4月:新任管理職向けオリエンテーション(社内実施、2時間)。管理職の役割、会社の期待、基本的なマネジメントスキルの確認。

5月〜6月:ストレッチアサインメントの付与。各管理職に「今期挑戦する課題」を1つ設定。

7月:外部講師による研修(半日、20万円程度)。テーマは「部下とのコミュニケーション」や「目標設定と評価」など、最も優先度が高いテーマに絞る。

8月:フォローアップセッション(社内実施、2時間)。研修で学んだことの実践報告。

10月:管理職同士の「マネジメント座談会」(社内実施、2時間)。互いのマネジメントの悩みや工夫を共有。

12月:360度フィードバックの実施(外部ツール利用、10〜20万円程度)。結果をもとに、来期の個人開発計画を策定。

2月:経営者との対話セッション(2時間)。経営方針とリーダーに期待する役割を共有。

このプログラムの年間コストは、外部講師費20万円+360度フィードバックツール15万円+その他10万円=約45万円。それ以外は社内のリソースで実施できます。


リーダーシップ開発の効果測定

リーダーシップ開発への投資が効果を出しているかを測定するための指標を設定します。

チームの離職率の変化:管理職のリーダーシップ向上の最もわかりやすい指標。各管理職の配下チームの離職率を、開発プログラム実施前後で比較する。

チームの生産性:売上、粗利、生産量など、チーム単位の業績指標の変化。

部下からの評価:エンゲージメントサーベイの「上司との関係」項目のスコア変化。

管理職自身の行動変化:360度フィードバックのスコアの経年変化。

鳥取のあるIT企業(従業員30名)では、リーダーシップ開発プログラムを2年間実施した結果、管理職5名のチームの離職率が15%から5%に改善、エンゲージメントサーベイの「上司との関係」スコアが3.0から4.1に向上しました。投資額は2年間で約90万円。離職率改善による効果は年間300万円以上と試算されています。


まとめ

リーダーシップ開発は、「年に1回の研修」で完結するものではありません。日常の業務経験(70%)、上司やメンターからのフィードバック(20%)、そして研修(10%)——この全体をバランスよく設計し、継続的に実施することが、リーダーの行動変容を促します。

中国・四国の中小企業には、経営者と管理職の距離が近いという強みがあります。大企業のように「経営者に会えない」ということがない。経営者自身がリーダーシップ開発に関わり、管理職と対話し、フィードバックを行う。この「近さ」を活かした開発プログラムは、中小企業ならではのものです。

リーダーは「研修で作られる」のではなく、「日々の実践の中で育つ」もの。その実践を支え、振り返りの機会を提供し、成長を後押しする仕組みを作ること。それが、中国・四国の企業のリーダーシップ開発に求められていることだと、私は考えています。

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