中国・四国の経営者が人事に求めていること——中国・四国で人事に取り組む方へ
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中国・四国の経営者が人事に求めていること——中国・四国で人事に取り組む方へ

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中国・四国の経営者が人事に求めていること——中国・四国で人事に取り組む方へ

「人事に期待することは何ですか」と経営者に聞くと、どんな答えが返ってくるでしょうか。

広島の製造業、高知の水産会社、岡山のIT企業——取材でお話を伺ったいくつかの経営者に、この問いを投げかけてみたことがあります。返ってきた言葉は「採用をなんとかしてほしい」ではありませんでした。「うちの社員たちが本当の力を発揮できるようにしてほしい」「会社の将来を一緒に考えてくれる人がいてほしい」「人のことで自分が悩まなくていいようにしてほしい」——こういった言葉が多かった。

経営者は人事に、「問題を処理するオペレーター」ではなく「事業を一緒に考えるパートナー」を求めています。それは都市部の大企業でも地方の中小企業でも変わりません。ただ、地方中小企業では、経営者と人事担当者の距離が近い分、そのパートナーシップが実現しやすい環境にもあります。


中国・四国の経営者が抱える「人」への悩み

中国・四国で事業を営む経営者の多くが、「人」に関する悩みを抱えています。

採用できない、育てたら辞める、幹部候補が育たない、現場の活力が落ちている——これらは規模の大小にかかわらず、地方企業の経営者が共通して感じている課題です。

経営者は人事のプロではないことが多い。採用の現場経験も、人材育成の体系的な知識も、評価制度の設計スキルも持ち合わせていない経営者は多くいます。だからこそ、人事担当者への期待は大きく、「人事が機能していない」と感じたときの経営者のフラストレーションは深い。


経営者が「人事担当者に失望する」パターン

経営者が人事担当者への信頼を失うパターンを整理すると、共通した構造が見えます。

「何とかします」と言って何も変わらない:経営者から「採用が弱い、何とかしてほしい」と言われ、「分かりました、頑張ります」と答えながら、半年後も状況が変わっていない。このパターンが続くと、「人事に任せても無駄だ」という諦めが経営者に生まれます。

問題の報告だけで、提案がない:「今年の離職者は昨年より3名増えています」という報告はする。でも、「なぜ増えたか・どう変えるか」の分析と提案がない。経営者は情報を欲しがっているのではなく、「どうすれば良いか」を一緒に考えてくれるパートナーを求めています。

経営数字と人事施策が連動していない:「来年は新事業を立ち上げるので、〇〇のスキルを持った人材を3名採用したい」という経営者の言葉に対し、「はい、採用を進めます」という返答をする。でも、その採用が事業目標にとってどういう意味を持つか、採用できなかった場合のリスクは何か、という観点が抜けている。


経営者が信頼する人事担当者の共通点

経営者から信頼される人事担当者には、いくつかの共通したパターンがあります。

経営者の言葉の裏を読む:「採用をなんとかしてほしい」という言葉の裏には、「今の事業を伸ばすために、どんな人材がどのくらい必要か」という経営課題があります。その課題を理解した上で、「採用の問題の前に、組織の魅力が課題になっています」「採用より先に定着率を改善しないと、採用コストが膨らみ続けます」という提案ができる人事担当者は、経営者の信頼を獲得します。

数字で話す:人件費率・採用コスト・離職率・生産性指標——これらを使って現状を説明し、施策の費用対効果を示せる人事担当者は、経営者の言語で話せる存在です。「感覚的に採用が弱い気がする」ではなく、「1名採用に平均120万円かかっており、業界平均の1.5倍です。この差の原因はAとBです」という話し方が、経営者との対話の質を変えます。

中長期で考えて行動する:人事担当者の多くは、「今期の採用をどうするか」という短期的な課題に追われます。しかし、経営者は3〜5年先の組織をどう作るかを考えています。人材育成・管理職育成・組織文化の変革といった中長期的な取り組みを「経営課題として提案できる人事担当者」は、経営者から「一緒に会社を作っている仲間」として扱われるようになります。


中国・四国の経営者と人事の距離感

地方中小企業では、経営者と人事担当者の距離が近いことが多い。これは都市部の大企業では得にくい「近接性の強み」です。

経営者の考え方・判断基準・リスク感覚を間近で学べる、必要なときに直接相談できる、施策の承認を得るまでの時間が短い——これらは、人事担当者が「経営に参加する経験」を積む上で非常に恵まれた環境です。

一方で、距離が近いがゆえに「経営者の考えに引っ張られすぎて、人事としての独立した視点を持てない」という課題もあります。経営者の意向を尊重しながら、「人事の専門家として言うべきことを言える」バランス感覚が、地方中小企業の人事担当者には求められます。


「経営者と人事の葛藤」を乗り越える

経営者と人事担当者は、時に意見が食い違うことがあります。「もっと給与を上げたい」という人事担当者の提案に対して「今の業績ではむずかしい」という経営者の返答、「この採用基準では優秀な人材が来ない」という懸念に対して「でも採用コストは抑えたい」という経営者の反応——こうした葛藤は、健全な組織にも起きます。

このとき重要なのは、「経営者の意向に全部従う」でも「自分の考えを押し通す」でもなく、「この会社にとって何が最善か」を共通のゴールとして置いた上で、お互いの意見を持ち寄ることです。

経営者は、自分の考えに盲目的に従う人事担当者ではなく、「きちんとした根拠を持って異論を言ってくれる人事担当者」を、心のどこかで必要としています。それができる人事担当者になることが、「経営者に信頼される人事」への道です。


「人事の仕事が見えない」という問題

経営者が人事に不満を感じるとき、よく出てくるのが「人事が何をしているか分からない」という言葉です。採用・研修・評価・制度設計——これらは仕事の成果が目に見えにくいことが多く、成果を可視化する努力をしないと「何もしていない」と見られやすい。

これは人事担当者の怠慢ではなく、人事の仕事の性質から来る構造的な問題です。だからこそ、「人事が何をしているか」「その成果は何か」を定期的に経営者に報告する習慣を持つことが重要です。

月次でも四半期でも、「採用進捗・離職率・育成活動の実績・制度改善の状況」を簡単な一枚のレポートにまとめて経営者に共有するだけで、「人事が動いている」という見える化ができます。これは自分の仕事の評価のためでもありますが、経営者と人事の情報共有の質を上げることでもあります。


中国・四国の事業環境が「経営者-人事」関係に与える影響

人口減少・高齢化・若年流出という地域課題が深刻化する中、中国・四国の経営者は「人材に関する不安」を都市部の経営者より強く抱えている傾向があります。

「5年後、この会社を動かす人材がいるだろうか」「このまま採用が続かなければ事業継続ができない」——こうした経営者の不安は、人事担当者への期待を高める一方で、「なんとかしてくれ」というプレッシャーとしても伝わります。

このプレッシャーを正面から受け止めながら、「現状の整理と中長期の対処策」を提示できる人事担当者は、経営者にとって「頼りになるパートナー」になります。その関係性が築けた人事担当者は、採用・育成・制度設計において経営者からの承認を得やすくなり、より大きな取り組みが動かしやすくなります。


小さな信頼を積み重ねる

経営者との信頼関係は、一日で作れるものではありません。「報告したことが実行された」「提案した施策が数字として成果を出した」「言いにくいことを正直に伝えてくれた」——こうした小さな積み重ねが、経営者と人事担当者の信頼関係の基盤になります。

中国・四国の中小企業で人事に取り組むことは、都市部の大企業人事とは異なる手触りの仕事です。経営者の判断の近くで、事業の課題を人事から解決していく経験は、人事担当者としての力を深く育てます。

その経験の積み重ねが、やがて「この地域の産業を人事から変えた」という実績につながっていく。そう信じて取り組み続けることが、地方の人事担当者の仕事の醍醐味ではないかと思います。


経営者の「人事への期待」を定期的に確認する

経営者の期待は時間とともに変わります。今期は「採用を最優先してほしい」だった経営者が、来期には「管理職育成にシフトしてほしい」と考えていることがある。これを把握しないまま前年度と同じ施策を続けていると、「人事が経営の変化に追いついていない」という評価につながります。

年1回程度、経営者と「来年度の人事に期待すること」を改めて話し合う場を設ける習慣を持つことが有効です。これは「指示を待つ」ではなく、「人事から問いかける」姿勢で行うことがポイントです。「今年の事業の課題を踏まえると、人事として何に集中するべきか、経営者の視点を教えてください」という問いが、対等な対話の入り口になります。


経営者と一緒に「組織のビジョン」を言語化する

中国・四国の中小企業の経営者の多くは、「どんな会社にしたいか」というビジョンを頭の中に持っていますが、それが文書化・言語化されていないことが多い。

人事担当者が「採用活動のために、会社のビジョンや大切にしている価値観を教えてください」と問いかけることで、経営者自身が自分の思いを整理するきっかけになることがあります。その言語化の作業を一緒に行うことで、採用広報・評価制度・育成の基準に一貫した「会社の軸」が生まれます。

このプロセスは時間がかかりますが、人事担当者が経営者にとって「会社の文化を一緒に作る仲間」として認識されるための、最も深い取り組みのひとつです。


人事担当者自身のキャリアを大切に

最後に、これは自戒も込めて——人事担当者が自分自身の成長とキャリアを後回しにしてしまうことは、よくある落とし穴です。「社員のために」「会社のために」動き続ける中で、自分が学ぶ機会を作れていないということは、中国・四国の中小企業の人事担当者から聞く悩みのひとつです。

人事の専門知識・経営の視点・最新の採用トレンド——これらを継続的に学ぶことが、経営者のパートナーとして機能し続けるための土台です。外部の勉強会・人事コミュニティへの参加・書籍・ウェビナー——意識的に学びの機会を確保することが、中長期的な自分の価値を高めることにつながります。


「人事のプロ」が地域に与えるインパクト

中国・四国という地域で、経営に深く関わる人事担当者が増えていくことは、企業単位の課題を超えた意義を持ちます。

採用力が高まり、人材が定着し、組織が成長する企業が地域に増えていくことは、その地域全体の産業基盤の強化につながります。魅力的な企業が増えることで、UIターン就職を検討する若者が増え、地域に人が戻ってくる流れが生まれる。この好循環の起点に、人事担当者の仕事があります。

「地方の中小企業の人事なんて、たいした影響力はない」と思っていませんか。でも、一つの会社が「採用力を持ち、人が定着し、次世代のリーダーを育てる組織」に変わることのインパクトは、その地域にとって思った以上に大きい。

中国・四国でそういった企業が10社・20社と増えていく——その一翼を担うことが、地方で人事に取り組む仕事の、静かだが確かな意義です。


「人事が経営者に提案する」という文化を作る

中国・四国の中小企業では、人事担当者が「経営者から言われたことをやる」という受け身のスタンスで仕事をしているケースが少なくありません。しかし、経営者が本当に求めているのは、問題を持ち込んでくれる人ではなく、解決策の仮説を持ってきてくれる人です。

「採用が弱い」という課題に対して「採用広告を増やしましょう」という提案ではなく、「採用が弱い根本原因は○○にあり、その改善には△△と□□の施策が有効です。コストと期待効果は以下の通りです」という構造化された提案を持てる人事担当者は、経営者にとって「頼れる存在」になります。

最初から完璧な提案を作ることは難しい。「小さな課題について、小さな提案を持っていく」ことを繰り返し、経営者からのフィードバックを通じて提案の精度を上げていく——そのプロセスが、「人事が経営者に提案する」文化をつくります。


経営者と人事の「共通言語」を育てる

経営者と人事担当者が建設的な対話をするためには、「共通の言語」が必要です。売上・利益・コスト・投資対効果——これらの経営用語を人事担当者が自分のものにし、「人事の課題を経営の言語で語る」ことができると、対話の質が変わります。

逆に、経営者が「組織の状態・人材の課題・人事施策の重要性」をある程度理解しているほうが、人事担当者はより大きな取り組みを推進しやすくなります。経営者向けの人事勉強会を年1回設けたり、他社の人事事例を経営会議で共有したりと、経営者の人事リテラシーを高める働きかけも、人事担当者の仕事のひとつです。


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