中国・四国の企業が管理職のプレイングマネージャー問題を解消する方法——中国・四国で人事に取り組む方へ
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中国・四国の企業が管理職のプレイングマネージャー問題を解消する方法——中国・四国で人事に取り組む方へ

#1on1#採用#評価#組織開発#経営参画

中国・四国の企業が管理職のプレイングマネージャー問題を解消する方法——中国・四国で人事に取り組む方へ

「課長なんですけど、実質的にはプレイヤーです。マネジメントに割く時間がありません」。愛媛のある部品メーカーの課長が、こう打ち明けてくれました。

その課長は、部下5名のチームを率いながら、自らも主要顧客3社の営業を担当していました。朝は営業に出かけ、夕方に帰社してから部下の報告を聞き、夜に自分の事務作業を片づける。部下との面談も、評価もまともにできていない。「管理職手当はもらっているけど、管理の仕事をする余裕がない」——そんな日々が何年も続いていました。

プレイングマネージャー問題は、中国・四国の中小企業で非常に根深い課題です。人員に余裕がないため、管理職が「管理だけ」をするわけにいかない。かといって、プレイヤー業務に追われてマネジメントが疎かになれば、チーム全体のパフォーマンスが下がる。

私はこれまで500社以上の企業の人事課題に向き合ってきましたが、プレイングマネージャー問題の本質は「管理職が忙しい」ことではなく「マネジメントの時間が確保されていない」ことにあります。この記事では、中国・四国の中小企業がこの問題を解消するための方法を、経営数字の視点から考えていきます。


プレイングマネージャー問題が経営に与えるダメージ

管理職がマネジメントに時間を割けないことの影響を、数字で整理します。

部下の育成不足による生産性の停滞:管理職が部下の育成に時間を投じないと、部下のスキルが伸びない。結果、「いつまで経っても管理職が一番できる人」という状態が固定化し、管理職の負担が一向に軽くならない悪循環に陥る。チーム全体の生産性が、管理職の個人能力に依存し続ける。

部下の離職:「上司が忙しすぎて、自分に関心を持ってくれない」「相談したくても、いつも席にいない」——こうした不満が、部下の離職につながる。管理職1名のチーム(5名)で年間1名が離職すれば、離職率は20%。採用・育成コスト150万円の損失。

管理職自身のバーンアウト:プレイヤー業務とマネジメント業務の二重負荷は、管理職自身の心身に大きなストレスをかける。管理職がバーンアウトして休職・退職すると、チームの機能が一気に低下。管理職1名の離脱は、一般社員の離脱よりもはるかに大きなダメージを組織に与えます。

意思決定の質の低下:目の前のプレイヤー業務に追われていると、中長期的な視点での判断が後回しになる。「今月の数字」を追うことに精一杯で、「来年の戦略」を考える余裕がない。

広島のある商社(従業員50名)では、管理職5名全員がプレイングマネージャー状態でした。管理職がマネジメントに割ける時間は業務時間の15〜20%程度。一方、マネジメント学の知見では、チームの成果を最大化するためには業務時間の40〜50%をマネジメントに充てるのが理想とされています。この「25〜30%のギャップ」が、チームの生産性と部下の定着率に表れていました。


なぜプレイングマネージャーが生まれるのか

構造的な原因

人員不足:中国・四国の中小企業では、そもそも人員に余裕がない。管理職が自らプレイヤーとして動かないと、業務が回らない。

プレイヤーとして優秀だったから管理職になった:多くの管理職は「最も優秀なプレイヤー」として昇進した。本人も、プレイヤーとしての仕事にやりがいを感じている。マネジメント業務よりもプレイヤー業務の方が「成果を実感しやすい」ため、ついプレイヤー業務を優先してしまう。

マネジメントの「成果」が見えにくい:営業なら売上、製造なら生産量と、プレイヤー業務の成果は明確。一方、「部下を育成した」「チームの雰囲気を良くした」というマネジメントの成果は、数字に表れにくい。評価制度がプレイヤーとしての成果を重視している場合、管理職は「マネジメントよりもプレイヤー業務を頑張った方が得だ」と感じる。


プレイングマネージャー問題の解消アプローチ

「管理職のプレイヤー業務を完全にゼロにする」のは、中小企業では非現実的です。目指すべきは、「プレイヤー業務の比率を適正化し、マネジメントの時間を確保する」ことです。

アプローチ1:業務の棚卸しと仕分け

管理職が現在行っている業務を、すべてリストアップする。そして、以下の4つに分類する。

A. 管理職にしかできない業務:重要な意思決定、経営者との折衝、キーアカウントの対応など。 B. マネジメント業務:部下の育成、目標設定・評価、チームビルディング、1on1など。 C. 部下に委譲できるプレイヤー業務:経験を積んだ部下に任せられる業務。 D. 効率化・廃止できる業務:報告書の作成、不要な会議への出席、形式的な手続きなど。

CとDの業務を減らすことで、BとAに充てる時間を確保する。広島のある企業では、管理職の業務棚卸しを行った結果、業務の30%がCまたはDに該当することが判明。この30%を段階的に整理したことで、マネジメント時間が2倍に増えました。

アプローチ2:部下への権限委譲(デリゲーション)

プレイヤー業務を部下に委譲するためには、計画的な「任せ方」が必要です。

段階的に任せる:いきなり全てを任せるのではなく、「見せる → 一緒にやる → 任せて見守る → 完全に任せる」の4段階で進める。

任せる際に「判断基準」を伝える:「この案件は自分で判断していい。ただし、○万円以上の場合は相談してほしい」——判断の基準を明示することで、部下が自律的に動けるようになる。

失敗を許容する:任せた結果、部下が失敗することもある。その失敗を責めるのではなく、「なぜそう判断したか」を一緒に振り返る。失敗を通じた学びが、部下の成長を加速させる。

岡山のある製造業(従業員70名)では、課長が担当していた主要顧客の対応を、リーダー格の部下に段階的に委譲しました。最初の3ヶ月は課長が同行し、次の3ヶ月は課長が事前事後のアドバイスを行い、半年後には部下が単独で対応。課長のプレイヤー業務が月40時間削減され、その時間をチームの育成に充てられるようになりました。

アプローチ3:「マネジメントの時間」を制度化する

「空いた時間にマネジメントをする」のではなく、「マネジメントの時間をスケジュールに組み込む」。

1on1ミーティングの固定:部下との1on1を週1回または隔週、30分でスケジュールに固定する。「営業の合間に時間があったら面談する」ではなく、「火曜日の14時はAさんとの1on1」と確定させる。

チームミーティングの固定:週1回30〜60分のチームミーティングをスケジュールに組み込む。

マネジメントの時間を評価する:管理職の評価項目に「マネジメント活動」を明示する。「1on1を月○回実施したか」「部下の育成計画を策定・実行したか」を評価対象にする。

アプローチ4:管理職の「サポート体制」を整える

管理職が一人で全てを背負わなくていい体制を作る。

事務的な業務の支援:報告書の作成、会議の議事録、スケジュール調整などの事務作業を、アシスタントや総務部門がサポートする。管理職の事務作業が月10時間削減されれば、その分をマネジメントに充てられる。

管理職同士の相互支援:管理職同士が定期的に情報交換し、お互いの課題を相談し合う「ピアメンタリング」の場を設ける。「自分だけが大変」と思っている管理職にとって、同じ立場の人と話せることは大きな支えになります。

アプローチ5:管理職の適性を見直す

厳しい話ですが、「プレイヤーとしては優秀だが、マネジメントには向いていない」人材が管理職に就いているケースもあります。その場合、「スペシャリスト」としてのキャリアパスを用意し、マネジメント職から外すことも選択肢です。

「管理職を降りる=降格」というネガティブなイメージを払拭するために、「エキスパート職」「テクニカルリーダー」などの専門職のグレードを設ける。報酬水準は管理職と同等とし、「マネジメントではなく専門性で貢献する」道筋を示す。

高知のあるIT企業(従業員30名)では、マネジメントを苦手とするシニアエンジニアを「チーフアーキテクト」という専門職に転換し、マネジメントは別の社員に任せました。結果、チーフアーキテクトは技術開発に集中でき、チームのマネジメントも適性のある人材が担うことで、チーム全体の成果が向上しました。


プレイングマネージャー問題を解消するための経営者の役割

プレイングマネージャー問題は、管理職個人の努力だけでは解消できません。経営者が「マネジメントの時間を確保することは、経営にとって重要だ」と認識し、組織全体の仕組みを変えることが必要です。

管理職のプレイヤー比率の上限を設定する:「管理職のプレイヤー業務は、業務時間の50%以内とする」と方針を明示。これだけで、組織の意識が変わります。

マネジメントの成果を評価に反映する:管理職の評価において、プレイヤーとしての成果とマネジメントの成果のバランスを取る。たとえば、「業績評価50%、マネジメント評価50%」と明示する。

人員計画の見直し:管理職がプレイヤーにならざるを得ない最大の原因は「人が足りない」こと。採用計画を見直し、管理職のプレイヤー負担を軽減する人員配置を検討する。


まとめ

プレイングマネージャー問題は、中国・四国の中小企業において、最も身近で最も根深い課題の一つです。しかし、「人が足りないから仕方ない」と諦める必要はありません。

業務の棚卸しと仕分け、部下への権限委譲、マネジメント時間の制度化、サポート体制の整備、管理職の適性の見直し——これらのアプローチを組み合わせることで、管理職がマネジメントに充てる時間を確保し、チーム全体のパフォーマンスを高めることは可能です。

管理職がマネジメントに時間を使えるようになれば、部下が育つ。部下が育てば、管理職のプレイヤー負担が軽くなる。この好循環を作ることが、プレイングマネージャー問題解消の鍵です。

「管理職の本来の仕事はマネジメントである」——この当たり前の前提を組織全体で共有し、その実現に向けた仕組みを整えていく。それが、中国・四国の企業の組織力を高める第一歩だと、私は考えています。

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